NPO 全国ことばを育む会[全国ことばを育む親の会]
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ことばを育む会のあゆみ

言語障害児をもつ親の会の歩み・・30周年記念誌・・抜粋

第3節

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V 親の会とそれを取りまく環境

5.通級制度対策委員会と国会請願

平成2年に入って、文部省は「通教学級に関する調査研究協力者会議」を発足させ、「通級学級に関する調査研究協力校」を指定しました。

全国親の会としても「通級問題」に、より本格的に取り組むために「通級制度対策委員会」を設け、活動することになりました。

第1回委員会に集まったメンバーは、辻会長、行木事務局長、北海道土谷・東北成田・関東市原・九州佐賀のブロック長と、北海道跡部・茨城加藤・栃木館野・群馬椎名・東京出井・千葉行木、野島・山口河村・愛媛一色の9名の先生方です。さらに国立特総研の大石先生も出席下さいました。以後後半の間に3回の委員会を精力的に開き、国会への請願書をまとめました。


 言語障害・難聴児の通級学級に関する 請 願 書


私ども、全国言語障害児をもつ親の会は、昭和39年の発会以来、ことばの問題を抱えた子供たちが、いつでも、どこに住んでいても、必要なことばの指導が受けられるように願ってきました。

おかげで、関係する行政機関・教育機関のご理解によって、全国的に学校教育の中で、「言語治療教室」という形で指導を受けられるようになったことは感謝に堪えません。

しかしながら、通級方式をとっているこの学級は、日頃は普通学級に籍を置き、一定の時間のみ言語治療教室に通って指導を受けているため、学級認可に伴う通級する子供の学籍の取り扱い上の問題から、担当教員の配置、居住学区城内・外からの通級承認等について諸般の制約が起こり、教育現場が混乱し、ことばの指導が受けられなくなった子供が多くなっております。

そのために、たとえ障害があっても、等しく教育を受けられる憲法の基本的権利が守られなくなってきています。

私たち全国言語障害児をもつ親の会は、これ等の通級に関する諸問題について、次のことを要望します。


1.通級学級の認可と教員配置について

(1)普通学級に在籍する児童・生徒の学籍を、移動させないで、個別の教育ニーズに応えるための、通級方式や巡回方式による指導形態を確立して下さい。

(2)通級・巡回方式による学級(教室)の認可は、実際に「指導を必要とする」幼児・児童・生徒数をもって査定し、必要な教員数を配置してください。

(3)通級学級担当教員の枠を、過剰教員解消策等に利用しないでください。

2.通級学級の教員の資格と資質の向上について

(1)言語障害児教育教員養成課程の卒業生に、言語障害児指導教育の資格認定をしてください。

(2)言語障害児のニーズに応じた、指導ができる現職教員の養成のため、その専門性を高め、資質を向上させる研修の義務づけをしてください。

3.通級学級の対象児について

(1)早期発見早期教育の必要性を重視して、幼児期からの指導が手厚く受けられるようにしてください。

現在、幼児から学童・中学生までの一貫した導体制ができていません。監督行政機関の理解と対応はまちまちで、親たちの不安が高まっています。

(2)言語難聴学級では、他の障害児学級に学籍があっても、言語や難聴に関する指導の必要な子供にも援助できる指導体制をつくってください。

(3)生活や学習をする上で大切な、他の人とのコミュニケーションが図りにくい子供にも指導できる体制をつくってください。

(4)言語難聴学級では、幅広い対象の子供に、その子供の必要としていることを見つめて援助できる指導体制を作ってください。

4.通級学級の指導内容について

(1)ことばやきこえだけに限定した画一的な指導ではなく、全人的な成長発達を考えて、−人一人に応じた、特別な指導の内容と方法を工夫するようにしてください。

ことばに問題のある子供は、他にも幾つかの障害を伴っています。それらを含めた子供の全体的発達を援助できる内容の指導ができるようにしてください。

(2)子供の指導だけでなく、親の指導、学級担任との協力指導や助言、在籍学級訪問、医療福祉機関との連携指導等も、指導内容として明確に位置付けてください。

学校は子供だけを指導すればよいとして、これらの指導をする時間が制約を受けたり、認められない場合が起こっています。

5.通級学級と医療・福祉との連携について

(1)通級学級と医療関係や福祉関係との連絡・提携の必要を認め、そのために、必要な時間や経費を公的に措置してください。

通級学級には、医学的な処置は終了しても、なお治療教育を必要としている幼児や児童・生徒もおり、また、治療教育を受けながら医学的処置が必要になってくる場合も起こります。親や担当教員の経費負担、時間的制約の軽減をしてください。

以上のことを、適級学級の今日の重要課題として是非とも改善していただけますよう、また、言語治療教育における我が国の教育制度の確立のためにも、なにとぞ格段のご理解とご支援をお願いして請願いたします。

        全国言語障害児をもつ親の会    会 長 辻  久視


平成3年4月に、辻会長、三木四国ブロック長、行木事務局長の3人で、越智伊平衆議院議員と仲川幸男参議院議員を紹介議員にお願いして、請願書を文部省をとおして国会に請願しました。後日連絡があり、請願の「教員の資格問題」と「研修の義務」「医療に係わる費用」についての要求は受け入れるわけにはいかない。部分的に受け入れられない項目があると、その請願は全部受け入れられないということでした。請願の行政的手続きの仕方を知らなかったばかりに、お力添えいただいた多くの方々にご迷惑をおかけしました。しかし、たとえ不採択になったとはいえ、全国親の会の願いが国会の場までは届いたことは確かであり、文部省には間違いなく届いているのです。これまでの努力を無駄にしないためにも、学習を重ね、今後ともねばりづよく運動をつづけることを誓い合いました。



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