T 親の会事務局移転
会報ことば第22号(昭和47年10月発行)の編集後記に「オフセットニ色刷りの会報編集に、事務局員と編集委員は興奮気味の毎日が続きました」とあります。そして会報の発行人もこれまでの全国親の会々長から、全国心身障害児福祉財団・太宰博邦となりました。
また、この号は第6回全国代表者会議を特集したものですが、小林咲子会長は挨拶の中で、「本年4月、全国心身障害児父母の会のメンバーが、待ちに待った『社会福祉法人・全国心身障害児福祉財団』が誕生しました。私どもの親の会でも、会の特徴を生かした活動を行うべく事務局メンバーと近県の有志としばしば会合を重ね、従来私どもの会の最も弱かった資金面のご援助を当財団を通して国庫と日本自転車振興会からの補助金等を受けるべくご指導いただきました。以来月に数会の事務局会議を待ち…中略・・・」と述べています。
さらにキャンプ、相談会の実施や専従者の選任問題などに触れたあと「…事務量も多くなり、各団体との打ち合わせ等もあり、現状のスタッフでどこまでできるか不安もありますが、これまで事務局を担当してくださった院内小学校並びに同校ことばの教室に大変なご迷惑を掛けてきましたのでこれ以上のお願いはできません」と実情を吐露しています。当時の状況から主なものを拾ってみます。
・言語障害児教育教員養成課程の設置
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東京学芸大(4年課程)43年
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金沢・大阪教育・愛媛大(臨1年)44年
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大阪教育大(4年課程)46年
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北海道教育大(臨1年)46年
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宮城教育大(臨1年)47年
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金沢大(4年課程)48年
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横浜国立大(臨1年)49年
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・これに呼応して言語障害児特殊学級数が急増
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45年
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46年
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47年
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48年
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49年
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50年
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277学級
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382学級
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470学級
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612学級
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710学級
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847学級
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・特殊教育内地留学実施要項発効(41,2,16)
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・国立特殊教育研究所の設置開所(46,10,1)
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・第8回全国親の会秋田大会開催(47,8,8)
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などがあります。
こうした状況変化や発展の経緯を踏まえて、秋田大会を契機に親の会組織の一層の充実がはかられなければならないことが議論され、その事に付随して当然全国親の会事務局に選任局員を配置するべく構想されました。そうしなければ組織が広まっても内容を充実したものには成り得ないと考えたからです。しかし、何分にも現実は厳しく財政的には極度に逼迫した状況にあり、事実、会報第21号から22号が発行されるまでに2年を要しているのです。事務局移転はだれにも異論を狭む余地はありませんが、「組織拡大」と「内容充実」の矛盾に関係者は頭を痛めていた訳です。
幸いにも冒頭にのべたように、全国心身障害児福祉財団の一隅に席を設けさせていただき、そこを拠点として本会は新たな船出をすることになったわけです。
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