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ことばを育む会のあゆみ

言語障害児をもつ親の会の歩み・・30周年記念誌・・抜粋

第1節

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U 親の会の萌芽

1.二つの教室の親の会

(1)通町小学校ことばの教室親の会

昭和33年3月21日付の毎日新聞が、大きく紙面を割いて親の会の結成を紹介しています。

記事の概要は次の通りです。


 予算つきの「特殊学級」ではない「ことばの教室Jには、仙台市から−銭の応援もなく学校の乏しい予算を割き、ときには濱埼先生がポケットマネーを出し、教具を求め設備を整えたという。もちろん濱崎先生にも特別手当もない。そこで19日、29名の子供の親が集まって親の会を結成、濱崎先生のお札、燃料費などにl家庭月200円ずつの援助を決めた。
 【学校長の話】一番ほしいのは専任の先生です。予算や教室などは市などに陳情していますが、ぜいたくなことは要求しません。最低限度でも結構です。県や市もいろいろ考えてほしいと思います。


これを見ると、私たちが目指した親の会活動とはニュアンスが違っていて、親の会は教室の後援、行政への要求・要望は学校という図式になりますが、必要だと思うと家計を無視して器財を買ってしまう濱崎先生の有り様を、見るに見兼ねた親たちの気持ちの現れだったと思います。

教室の予算がないという状況は、相当長く続きます。理由は、ことばの教室には仙台市内の子どもより、市外・県外の者の方が多い。更に相当額の親たちからの資金援助を受けている。ということだったようです。

予算がないから親の援助を受ける。親から多額の援助があるので予算は出せないというのは大いに議論のあるところでしょうが、優れた指導者や数多くの支援者に恵まれた大熊喜代松先生とは違い、指導法もひとりで開発しなければならなかった濱崎先生は、あくまでも孤独だったようです。

それを包み込んで守ったのは、通町小学校の校長先生と親の会のお母さんたちでした。

教室の後援会のようだった親の会も、徐々に脱皮し、社会への啓蒙や行政への要望活動などに手を広げ、東北各県の親の会作りに尽力する程の、大きな親の会に成長するに至りました。



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