T 第二期全国親の会執行体制
2.臨教審部会長との懇談
昭和61年1月に入って緊急の全国ブロック長事務局会議が開かれました。小林会長の強い辞意を受けての対応と、臨時教育審議会第三部会・有田部会長と懇談し親の会の要望をするためです。久しぶりに平岡事務局長も出席され、次期会長はやはり関東から選出されるのが一番良いとの結論で関東ブロック会議で検討することにしました。
臨教審有田部会長との懇談は、土谷、辻、宮田の3ブロック長に平岡事務局長と行木、金田、市原、松崎の8名で赤坂の有田事務所で行われました。すでに提出している要望書を中心に、言語障害児といわれている子どもたちのおかれている環境と、親の会が抱えている問題について理解を求めたのです。
臨教審に対する要望書
言語障害教育が発足当初(昭和30年代)より取り入れて来た通級制(必要に応じて特定の時間定期的に通級し、障害を改善するため1対1で特別な指導をする指導形態)は、言語障害児のニードに合致して、全国に拡がるとともに難聴・情緒障害の指導にも取り入れられ、更に通級が困難な地域では、専門教師の巡回による指導にまで発展したが、裏づけとをなるべき制度面の整備が立ち遅れて様々な矛盾や混乱を生じている。
事実、通級や巡回ということばは、どの関係法令や通達にも見当たらず、昭和53年、特殊教育に関する研究調査会(会長辻村泰男)による「軽度心身障害児に対する学校教育の在り方」において望ましい教育形態として報告されているに過ぎない。
特殊教育の内容や指導形態は、障害者のニードに合わせて常に新たに改善してほしいという願いから、今回の教育改革に当たっては伝統的教育形態や教師像に対する発想の−大転換を図る事により、抜本的改正と弾力的制定を特に次の2点についてお願いする次第である。
1.通級又は巡回による指導と現行学級編成制度との矛盾の改正について
通級又は巡回制をとる言語障害等の特殊学級も、精神薄弱のように固定式の指導形態をとる特殊学級も一括して「学校教育法第75条に規定する特殊学級」として一律に学級編成と教員定数が規定されている(義務教育諸学校の学級編成及び教職員定数の標準に関する法律3条の2)ために生ずる矛盾は、教育現場の隘路となり、望ましい通級・巡回制を衰退させつつある。この際、通級又は巡回による指導形態にあった制度の確立を是非お願いしたい。
2.専門教師の養成について
言語障害の種類は多様なため、その指導には音声学・言語学・医学・心理学・臨床心理学などの学問的かつ高度な知識と専門的を技術が必要とされているが、現在4年制の養成過程を設置する大学は全国に4校しかない。このため教育現場では、精一杯工夫して視聴教育を行っているが、とても障害児や裁たちの要望に応えることはできない状態である。
また、折角4年の養成課程を修了しても免許制がなく、諸外国のような言語治療士の資格制度もないため、現状では、将来の見通しも全く暗いものになっている。
教育は人なりという。この際、免許法の改正や資格制度の制定も含めて、長期の見通しに立った専門教師養成制度の確立をお願いする次第である。
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